食パン・キノコ・雪だるま
食パン・キノコ・雪だるま…。
何のことか、分かりますか。組織の形です。
役職階層で組織図を作って実際の人員を置くと、
普通はピラミッド型になります。
ところが、食パンみたいに、四角形の組織図に
なってしまう会社があります。
これは、どういうことかと言うと、
一定の年数が経ったら社員を(半ば自動的に)
昇格させてしまう。
その結果、担当レベルの仕事しかしていないのに
係長や課付き課長みたいな役職者がどんどん増殖
する。
担当クラスの仕事で役職者並みの給与をもらう
人がごろごろしているため、新規採用を絞る。
…結果、上から下までずん胴のような組織に
なってしまう。ということで「食パン型」の
組織ができあがります。
こんな話を経営者の方としていたら、その方が
ポツリ。
「それで言ったらウチはキノコ型だよ…」
この会社は業容の急拡大期に、将来を見越して
人員を大量採用しました。
大量採用組は昇格・昇給で上にあがっていき
10年以上経ってベテランとなりました。
等級的にみても年齢的にみても圧倒的に太い層を
形成しています。
この時期に将来の業容拡大まで先取りして採用
したため人手は飽和、その直後から採用を大きく
絞りました。
大量採用の前はある程度ピラミッド型を維持して
いたため、上半分は裾野が広いピラミッド、
下半分は急に細ってそのまま伸びた形。
まさにキノコです。
現地化を進めて、もう日常業務は現地幹部に
任せているという会社でよく見られるのは、
「雪だるま型」です。
初期に入社して、最初にポジションを得た幹部は
ずっと動かない。ところがその下、次世代を担う
はずの層がごそっといない。
さらに下の1〜5年目くらいの若手社員は一定数
いる。
つまり、入社しても5年目ぐらいで抜けてしまう
ので、真ん中の層がくびれている。階層別や
勤務年数別の組織構成で見ると、8の字のような
形になっています。雪だるまです。
いずれも見てわかる通り、健康な姿ではないです。
このような組織では、無駄なコストのぜい肉や
重しが組織の体力を奪い、加速を阻害します。
私の見る限り、大多数の日系企業は
【3〜5割は余分な人件費を払っています】。
重要なことなので繰り返しますが、日系企業は、
余計な人件費を3〜5割も払い続けています。
私だけかと思ったら、台湾系のオーナーも同じ
ことを言っていたそうです。
この会社が日系法人の買収を検討していて、
台湾人トップが視察に来た時のことです。
一通り回って、だいたい値踏みした後、酒の席で
ポロッと「自分が経営権を握ったら、すぐに3割は
コストを落とせる」と言っていたそうです。
見方によっては、それぐらいスリム化の余地が
あるということです。
(2019年9月 JETRO北京ミニ勉強会より)