辞めてくれたらホッとする
組織の新陳代謝が滞り、上の層が動かなくなると
何が起こるでしょうか。
若手社員が「正当に評価されて新しいことに挑戦
したい」「この会社で仕事が認められたら10年後
にはどうなるだろう」と考えて自社の組織を見る。
部長が45歳、課長が38歳、係長が32歳…。
部長が定年まで15年。それまで自分が課長以上に
上がる可能性はほとんどない。
この会社では、序列を飛び越えることはほとんど
ないので、係長が引退しない限り、自分に部長は
回ってこない。約30年か…。
定年年齢があがればそれ以上。いまから頑張って
仕事を続けても、30年は誰かの下で順番待ち。
目標意識が高い人、自分に自信のある人は、とても
待っていられませんよね。こういう人ほど早く
見切りをつけて会社を去っていく。
または「あくせくしたって、年数を消化しないと
上がれないんだし、それなりにやっとくか」と
成長を止めて悪い方に馴染んでしまう。
このまま5年、10年過ごすと、もともと成長性や
能力があっても、もう取り返すことはできません。
こうして負債化した社員は辞めず、どんどん
増えていきます。
優秀な社員には見切りをつけて逃げられてしまい、
負債化した社員はどんどん溜まっていく…。
こういう話をすると、皆さん「本当は手をつけな
きゃいけないんだけどね」とため息をつきつつ、
「でも、解雇するほどの問題があるわけじゃない
からね…」で終わってしまいます。
では、辞めてもらった方がいいかどうかは、どう
見極めるのか。
私は、非常にシンプルな方法を、ジム・コリンズの
『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(日経
BP)という本で学びました。
皆さん、自社で扱いに悩んでいる社員をイメージ
してみてください。
ある日、彼/彼女がやってきて「小島さん、相談が
あります。実は以前から親の体調がすぐれなくて、
そろそろ介護が必要になってきた。急で申し訳ない
けれど、今月末で退職させてほしい」と言った。
この時に「ちょっと待って!在宅でもいいし、フル
タイムじゃなくていいから、少なくとも若手が育つ
まで仕事を続けてよ。勤務形態は柔軟に考えよう」
と本気で声をかけるか。
それとも【正直ほっとする】か。
これが分かれ目だそうです。
後任探しや引き継ぎなど、実務への影響はいろいろ
面倒なものの、本人から申し出てくれて正直ほっと
する自分がいたら、それはいますぐバスから降りて
もらうべき社員なのです。
(2019年9月 JETRO北京ミニ勉強会より)